最初に手を付けはじめたのは7月16日。
9月19日なんとか無事に一つの仕事を終えた。
プロでもないのにという意識を持ちつつも新たな挑戦ととらえさせていただいた。
自分の会社の事務所を改装したり、趣味でテーブルをつくってみたり。
モノをつくるということに関しては、どんなことでも好きなこと。
ただ、きちんとクライアントがいての仕事となると別の次元と考える。
遊びではないし、趣味の世界でもない。
真剣に取り組むことはもちろんの事、良いと思ってもらえるモノをつくらなければいけない。
そんな、素人に大事なことを任していただいたことに感謝しなければならないし、期待にも答えなければ失礼なことだとも思う。
いらないものを出来るかぎりそぎ落とし、必要なものを当てはめていけば良いのかなくらいに思っていた。
デザインとは、そんな簡単なことではなかった。
その必要なものをどのような形で当てはめるのかが重要なことで、この限られた空間をデザインされたものでクライアントの想像しているものに近づけていかなければならない。
最初は、全く想像ができなかった。
本業をこなしながら幾度となく現場に足を運び、想像してみる。
それでもだめで、結局図面などは一切書かなかった。
いや、書けなかった。
もともと、庭をつくる上でも必要最小限であまり図面を書かない。
それは、現場でしか感じることができないものがあるから。
カタチもどんどん変わっていく。
必要なモノも変わっていく。
自分の場合は、そういったものは現場にいなければわからないし、感じることもできない。
現場でつくってみる。
一つひとつ手探りでこれでいいのかなと半信半疑でつくりはじめる。
最初は板一枚だったものが何十枚という板や皮の剥がされた木が立っていくうちに想像にかき立てられていく。
苦痛だったものが、少しづつ気持ちよくさえ感じるようになっていく。
ランナーズハイ。
最後の3日間は、まさしくこの感覚。
現場に行くのも、そのことを考えるのも楽しくてしょうがない。
そして、アイディアも浮かんでくる。
こういう感覚は、庭をつくる時にも感じることがあって、その現場は間違いなくいいモノができている。
この現場もそうなのかもなと。
今回この仕事を引き受けて大事にしてきたことが3つある。
十勝の素材。
ここのところは、庭をつくる時と変わらないスタンスである。
足りないものはしょうがないが、ベースはいつもそこにある。
自然と足が向く空間。
居心地の良さが大事で、それをどう表現すれば良いのかを考えていた。
結局自分にできることは、自然の素材を使うこと。
木のニオイだったり、木の手触り、そして木のぬくもり。
それをどのようなカタチで触れてもらえば良いかを考えてきた。
遊び。
これは、自然と足が向く空間をつくる上でも大事だと思うが、ちょっとしたところに遊びが必要と考えている。
空間の中に遊びがあると、驚きがあったり、楽しい気持ちになる。
わくわくする空間って良いなと思う。
それが思い浮かぶ時もあれば思い浮かばない時もある。
今回は、ぎりぎり前日に思い浮かんだ。
僅かな気づきが大きな差を生むような気がしている。
この現場を終えて、関係者だけのパーティーが開かれた。
そして、皆に同じ質問を投げかけた。
この空間で一番好きなところはどこ?
人それぞれ感じるところが違っていて面白かった。
皆からもらう感想すらも自分にとっては、大事な財産なのだ。
そこには、自分が意図していない部分があるから。
そういうところは、次は狙ってすべきなのか。でも、狙ってつくるとそうは感じてもらえなかったりするのか。
またまた、考えてしまう。
まあ、良いモノをつくることが重要なんだろうな。
評価はその結果。
評価を気にするよりも一生懸命に良いモノをつくる事に集中しなさいと、言われたことがあった。
何事もその通りだと思う。
いろんなことがあったけど、皆の楽しむ顔を見られて安心とホントに嬉しかった。
明日からは、本業でがんばります。
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