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執筆者の写真Nobuhiro Kawai

中標津へ

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ある人との出会いから、ここ中標津にくるキッカケを得ることができた。

曇り空。時々小雨が降るという少し残念な天気だったが、緑は色濃く見ることができた。

最初に訪れた牧場は三友牧場。

放牧の世界では有名な牧場で、本も出しているということ。

ここに来るなら、本の一冊くらい読んでおけば良かったと後悔する。

道路から入る動線が森を右手に見ながら曲がって行く。

そして、正面にチーズ工房が見えた。

チーズのことはさておいて、私が思ったことは、人が歩く道を、浮かせていること。

これは、チーズ工房だけにとどまらず住宅に向かう道でも見られた。

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一見、地形も平らなように見えるが、手前側はかなりの窪地で枕木の通路を浮かせて道を平らにしていた。

効果としては、どんな雨が降っても足下には水が溜まらない。

いつもとは違う目線で花木を観察出来る。

この二点があげられる。

ここでは、ご主人に会うことはできなかったので、少し牧場内を歩いてみた。

鶏がいたり、セルフビルドした建物があったり、もう少し奥の方まで行ってみたかったが、どこに何があるのかがわからなかったのでひとまずは、見える範囲での散策にとどまった。

しかし、その中にカッコいい建物があったので紹介しておく。

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古いのか、新しいのかわからないが、色と良い板の張り方と良い、ちょっと見とれてしまった。

次の牧場に向かう途中、開陽台があったので、立ち寄ることに。

学生時以来だからもう約20年ぶりにということになる。

様変わりしていた展望台にびっくり。

こんな展望台はなかったと思うが、立派になっていた。

今回勉強になったことがひとつ。

根釧台地にある格子状の防風林が北海道遺産になっていること。

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格子状の防風林というのもはじめて知ったし、それが北海道遺産とは。

十勝の防風林の景観も北海道を代表する景観だと思うけど。

さて、寄り道後、二カ所目の訪問先は佐伯牧場。

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ここの牧場は、レストランも経営しているということでお昼はここでいただくことに。

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今回は、家族も一緒に来ていたので、いろいろなものを注文して味比べをしてみたのだが、

どれもこれもおいしかった。

私たちが食事している間にも、ひっきりなしに食事にくる人やパンを買いにくる人などがいた。

私は、中標津の地理には詳しくはないが、ここの立地は決して良い場所ではないはず。

なのに、こんなにも人が行き交うというのは、立地というのは第一の条件ではなく、ここでしか味わえない味や、雰囲気、

そして時間というものがあるのではないかと思う。

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店内を飾っているセンスのいい小物たちのおかげで、長い時間を過ごしても飽きることはなかった。

食事後、牧場のご主人と会う機会を得られたので、ここでの取り組みや施設の案内、考え方などを直接聞く事ができた。

最初は、物静かな方なのかなという印象だったが、話しているうちにだんだんと佐伯さんの信念の深さが伝わってきて、しかも

それは、単なる思いのようなものではなく、全てが自らの経験から来ているものだというのがわかり、ますます佐伯さんの話に

引き込まれてしまった。

佐伯牧場で得られたものは、佐伯さんの情熱だけではなく、サインとそのデザインの素晴らしさ、色の使い方、そして地域に対

して自分たちが何が出来るのかといった、地域貢献。

牧場経営でもさることながら、いろいろな場面においての景観づくり、経営の考え方で大事なこと、

その重要な部分をここの牧場で見られたような気がする。

今回の中標津訪問。

最後の訪問先は武田牧場。

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ご主人の武田さんは学生時代佐伯牧場で研修をしていて、

だから、「一生佐伯さんは俺のボスなんだよな」と言っていた。

余談はさておき、武田さんのこだわりは、住宅から見える目の前のロケーション。

牧柵を隔ててすぐに放牧地が見渡せる。

丘陵になっているので奥の方は木の先端部分を見るという、面白い地形にもなっている。

今回は、曇りだったので晴れの時の景色も見なくては、本当の良さというものはわからないとは思うが、それでも良い景観だと

いうことに違いはない。

もうひとつのこだわりが曲線。

住宅の方に入るエントランスも、目の前の牧柵も角をつけずに曲線を使っている。

景観の優しさや、自然界での馴染み易さで曲線というのは有効なラインであるということであろう。


武田さんも佐伯さんと同じように地域を大切に思っている人の一人である。

毎年、高等養護学校の生徒をアルバイトで使い芋を手拾いをしているという。

それは、その芋に対しての付加価値という面もあるが、地域にお金を落とすという、地域貢献の側面も持っている。

もうひとつは、その生徒たちの社会での接点づくり。

パートの大人たちと接し、働くことによって人間的にも成長していくそうである。

そのような場所をこれからも地域のためにつくらなければいけないという信念をここでも感じることができた。

長くその地で経営していくには、地域との良い関係がなければやはりいけないということを、あらためて感じる事もできた。

そんな武田さんの将来の夢は、この牧草地にオーベルジュを建てることなのだとか。

そのために、まずはマスタープランをつくり、その上で毎年コツコツとつくりあげていく。

そんなつくり方が私も好きだ。

経済的にも負担にならずに済むだろうし、人間は日々成長しているのだから、人の成長分最初の計画よりも良いものができる

ような気がする。

今回お忙しい中、段取りをして下さった方、案内やお話を聞かせて下さった方々にお礼を申し上げるとともに、これをただ見た

という事実にとどめず、これからの自分の仕事に反映させていければと思います。

関係して下さった方々、本当にありがとうございました。

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