今日の視察先は、Temukaという小さな街の近くにある日本人の方が経営している牧場。
ニュージーランドでは、牧場のオーナーがいてそのオーナーが牧場の経営を任せるために人を雇う制度がある。
シェアミルカーという制度だ。
仕事の分配や、利益の分配まで様々な契約があって、シェアミルカーの力量がその分配率を決める。
言うなれば、雇われ社長のようなものであろう。
なので、シェアミルカーは自分の取り分を多くするために一生懸命にがんばる事ができる。
有能なシェアミルカーは、自分の牧場を持つオーナーになるためのステップアップには欠かせない制度なのだという。
ニュージーランドの酪農は基本放牧。
日本のような、舎飼いは全くと言ってない。
そして、考え方も全く違っていて、日本は牛一頭がどれだけ乳量を出すかに視点がおかれるが、ニュージーランドは牛にどれだけ牧草食べさせられるかに視点がおかれている。
それは、牛はあくまでも牧草を牛乳に変えるための道具という見方をしている。
けっして、工場製品という意味ではなく、ストレスなく健康的に牛は牧草を食べ、動物として幸せそうに生きているように見えた。
日本の舎飼いは、いつも屋根の下で生活している飼い方の方が圧倒的に多い。
国のシステムがそうさせているのか、詳しくはわからないが、けっして動物的な飼い方ではないように思う。
そんなニュージーランド的な酪農を学びたく、研修に来る日本人がいつもこの牧場にはいるという。
放牧というと大雑把なイメージがあるかもしれないが、緻密に計算された会社の経営だった。
牧区を区切り、その中の草をどの丈まで食べさせるか、そのためにはどのくらいの広さに何頭の牛を放せばいいか、季節によっては足りない栄養をどのくらい食べさせるかなど、今までのイメージとはかなりかけ離れた牛の飼い方をしている。
牛飼いも当たり前だが会社の経営と同じなのだ。
如何にロスなく牧草を食べさせ、広い放牧地を活用出来るかがこちらの経営スタイルなのだ。
この日は、日本人シェアミルカーの和田さんのお宅で晩ご飯をいただいた。
その時にもいろいろなお話を聞いたのだが、印象に残った言葉があった。
ニュージーランドで大切なことは、自分の将来のビジョンを持つこと。それは、家族も含めて長期的な目標を立て、
なぜ、そうなりたいのか、そのために今自分は何をしなければいけないのか、というビジョンをきちんと紙に書いて
説明出来なければいけない。
そういう事というのは、雇ってくれるオーナーやお金を借りる銀行にも説明しなければいけない事。
その中には、細かい財務的な事も含まれるのだが、やはり大事なのはビジョンか。
今までいろんな人の話を聞いてきたが、世間一般に成功している人はそれを持っているし、その重要さも語っている。
ここニュージーランドに来てもそういった言葉を聞くとは思わなかった。
自分はというと、様々な言い訳をつくっては逃げてばかりいた。
いよいよ、逃げ道がなくなったような。
ビジョンをきちんと描いた先に見えるもの。
果たして、どんな人生が待っているのだろう。
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