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執筆者の写真Nobuhiro Kawai

高校のかなり先輩から誘われた母校の100周年事業部部員。

はじめはどんなことをする部会なのかを聞いた上で部員として活動をさせていただいていた。

母校の100周年だから何か自分ができることで役に立てるならという思いだけであったし、ただ単に記念植樹を段取ってすれば良いという感じでもあった。

それが、段取りを進めていくうちに樹木を用意すればいいだけではなく、記念のプレートも用意することに。

その上、記念植樹の式典は、そのプレートの除幕式がセレモニーとして行われる。

どんなプレートがいいのか。

すでに何本か敷地には記念の植樹が行われていて、そのプレートを参考にということが伝えられる。

まあ、どれも一度は目にしたことのあるような白いプラスチックのプレートが並ぶ。

予算もあるし、これに似たものでいいよなぁとも思ったりもしたが、自分がこの記念植樹を受け持った意味を考えるとこんなプレートでは当然納得できなかった。

でも、かっこいいプレートのデザインを考えるセンスもないしと思い、グラフィックデザイナーの佐藤史恵さんに相談してみる。

すると史恵さんもここの高校の出身だということが判明し、意外なところからぐっと距離が縮まる。

はじめに相談を持ちかけてから、約1ヶ月。

こういったデザインが絡む仕事は紆余曲折が当たり前なのだが、盆休みが絡んでしまいかなり期限ギリギリでプレートが出来上がる。

そして今日8月24日午前10時から式典が行われた。


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この式典には全く出席するつもりはなかったが木を植えたり、プレートを設置したりするうちに生徒たちがどんな気持ちでどんな顔で自分が作ったものを見るのかを見たくなってしまい出席させていただいた。

数名の来賓挨拶と生徒会長の挨拶のあといよいよ除幕が行われた。


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少しのどよめきと彼の顔を見ればどんな気持ちだったか多少はわかるかな。


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高校の後輩たちが自分の作ったベンチに座り嬉しそうに記念写真に応える姿を観れただけでこっちも嬉しくなったな。


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今後玄関前のこの場所が高校の憩いの場になれば嬉しいし、皆が集まる場になってくれたらいいと思う。

そういえば、イタリアの小さな街では町のいたるところにベンチを設置して人が休めるように、そして人がそこに留まるようにして街づくりをしているということを思い出した。

普通なら通りすぎる場所がベンチがあることで人は腰を掛け、そこに会話が生まれ場所としても温かくなっていくんだろうな。


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ここに植樹した木はミズナラの木。

設置したベンチもミズナラの木から作った。

荒っぽい作りだがお気に入りのベンチだ。

今回なぜミズナラの木を植樹したのか。

その思いを以下に書き記す。

北海道帯広三条高等学校創立100周年においての記念植樹が、今後たくさんの生徒たちにどのような気持ちで見守ってほしいかを考えた時、

帯広三条高等学校だけを見るのではなく、本校が100年もの間十勝という土地に根ざしてきた歴史を忘れてはいけないと思います。

それはどういうことかというと、十勝の歴史は約130年余り。

開墾が行われてからわずか30年後には帯広三条高等学校の前身の十勝姉妹職業学校が設立されました。

開墾当時の十勝というのは、カシワ、ミズナラ、ニレ、タモなどの原生林が覆っていた原野でした。

先人たちはそんな原生林を切り拓き、畑や牧草地などに整備し今の十勝が生まれました。

特に十勝のミズナラ、つまりオーク材は高品質なウィスキーやワインの樽としてヨーロッパなどに輸出されていたという歴史もあります。

開拓当時のような森を作ろうとしている訳ではありませんし、戻そうとしている訳でもありません。

ただ、こういった歴史があって今があるということを忘れてはいけないと思っています。

たった一本のミズナラでそこまでの気持ちになれるかはわかりませんが、その一本のミズナラが考える礎になればと思っています。

とても小さな仕事だったが充実した時間を感じさせてくれた。

そして自分らしい仕事ができたと思う。

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